20代でも生命保険に入ったほうがいい?加入状況や加入がおすすめな理由を紹介
保険と聞くと、病気になりやすい中年層や高齢者が加入するというイメージがあり、20代の人にとっては縁遠く、保険の事を考えた事がないという人も多いのではないでしょうか。
目次
20代の生命保険の加入状況と掛金
現在20代で保険に加入するべきか迷っている人のなかで、実際に20代で保険に加入している人の割合が全体のどれくらいになっているのかを知りたいという人は多いことでしょう。
20代の生命保険の加入状況や掛け金について、公営財団法人・生命保険文化センターが公開しているアンケート調査をもとに解説していきます。
20代の生命保険の加入状況
令和4年度の年齢別加入状況
20代 | 46.4% |
30代 | 81.5% |
40代 | 86.1% |
50代 | 86.9% |
60代 | 85.8% |
70代 | 72.5% |
令和4年度の年齢別加入状況を確認すると、20代の加入状況は46.4%となっており、20代の約半数がなんらかの生命保険に加入していることが分かります。
しかし前回の調査である令和元年まで20代の加入状況は50%以上をキープしていたのですが、令和4年度は初めて50%を割り込みました。
20代が支払う掛金の平均月額
続いて年齢別の平均保険料を見てみましょう。
令和4年度年齢別(男性)の年間保険料を表にまとめました。
20代 | 11.9万円 |
30代 | 19.9万円 |
40代 | 22.4万円 |
50代 | 25.5万円 |
60代 | 21.2万円 |
70代 | 16.4万円 |
20代の年間保険料は約12万円となっているので、月額に換算すると1万円となります。
30代になると一気に保険料が上昇していますが、これは結婚や家族が増えるなど、ライフスタイルが大きく変化したことが影響していると考えられます。
20代で生命保険に加入するのがおすすめな理由
生命保険に加入するかどうかは、自分の現状などを踏まえてよく考慮する必要があるものの、20代から加入しておいた方がさまざまなメリットを得られることは間違いありません。
ここでは20代で生命保険に加入する事をおすすめする理由を3つ紹介します。
保険料が安く抑えられる可能性がある
生命保険の月々の保険料の設定は商品ごとに異なるものの、年齢が上がれば上がるほど同じ保障でも保険料は高額になる傾向にあります。
保険料の設定には「更新型」と「終身型」があり、更新型は更新時の年齢に応じて保険料が上昇していくので、若いうちに加入するメリットはあまりありません。
しかし「終身型」の生命保険の場合は、加入時の年齢の保険料がずっと適用されます。
終身型の生命保険も加入時の年齢が高ければ高いほど月々の保険料は上昇するので、20代のうちに就寝型の生命保険に加入しておけば、トータルの保険料を抑えられる可能性があります。
生命保険は病気やケガにならなければ保険料がそのまま保険会社側の利益になりますが、病気やケガによって保険の対象になった場合は支払った額の何十倍、何百倍といった給付金を支払わなければなりません。
高齢の加入者の方が給付金を支払わなければならないリスクが上昇するので、保険料もそれに比例して高額に設定しているのです。
加入審査に通過しやすい
生命保険の加入前にはほぼ間違いなく現在の健康状態や過去の病歴を報告しなければなりません。
虚偽の報告をすれば問題ないと思っている人もいるかもしれませんが、加入した保険の対象となるケガや病気を負ってしまった際に、過去の病歴などと関連していて、申告の際に正しく伝わっていなかった事が判明すると、給付金が支払われなくなる恐れがあります。
そのため、保険加入時の申告は嘘をつかずに真実を伝えておいた方が無難です。
申告の際に過去5年以内に何等かの病気やケガを負っていると伝えた場合、保険の内容によっては加入そのものを断られたり、加入できたとしても正規の保証ではなく制限されたものだったり、同じく保障内容でも保険料が割り増しされるといった処置をされる事があります。
その点、20代であれば健康的な生活を送っていたり、過去に大病をしていなければほぼ何の制限もなく加入審査に合格し、自分の入りたい保険に自由に加入する事ができるでしょう。
貯蓄型保険で老後資金の準備にも利用できる
生命保険の中にはケガや病気になった際の保障をしてくれるだけではなく、加入するだけで資産形成ができるような商品もあります。
通常の生命保険に加えて資産形成が付帯されている保険を貯蓄型保険と言い、以下の保険が貯蓄型保険に該当します。
- 低解約返戻金型終身保険
- 個人年金保険
- 外貨建て保険
- 変額保険
それぞれの保険について簡単に解説すると、低解約返戻金型終身保険とは、保険金を支払っている期間の返戻金は通常よりも低く設定されている代わりに、支払期間が終われば支払った額よりも多くの返戻金を受け取る事ができる保険です。
個人年金保険は、保険の加入と同時に年金を積み立てできる保険で、国民年金、厚生年金に加えて第3の年金としての資産形成が可能となります。
外貨建て保険は支払った保険料を海外の通貨として運用する保険で、外貨の価値が上昇すれば受け取れる返戻金も上昇する一方で価値が下がれば返戻金が元本割れするというデメリットもある貯蓄型保険です。
変額保険とは外貨建て保険と同様に支払った保険料を株式などの金融商品として運用する保険で、大きな利回りが期待できる代わりに外貨と同じく元本割れのリスクを含んだ貯蓄型保険となっています。
貯蓄型保険は定期預金のように意識せずとも資産形成ができる一方で、同じ保障の一般的な生命保険と比べると月々の保険料は高額になります。
貯蓄型保険で資産形成をおこなうのか、それとも生命保険は通常のものに加入して資産形成は個別に自分でおこなうのかはよく考えるようにしましょう。
20代で加入を検討するのがおすすめな生命保険は4種類
生命保険にはさまざまな種類があり、加入するのに適した年齢も保険の種類によって異なります。
20代で加入する事を検討した方がよい生命保険は以下の4種類です。
- 医療保険
- がん保険
- 就労不能保険
- 個人年金保険
各保険がどのような特徴を持っている保険かを理解しておけば、自分にはどの保険が必要なのかを的確に判断できるようになります。
病気やけがに備える「医療保険」
生命保険と聞かれて真っ先にイメージする保障に最も近いのが医療保険ではないでしょうか。
医療保険は病院で受診や治療を行った際に発生した医療費を対象に給付金を支給する保険です。
給付金の支給には実際に発生した費用に応じてその一部または全額を支給するものと、特定の病気を発症した場合や治療を受けた際に、あらかじめ定められた給付金を支払うものとがあります。
対象となる疾病や治療、保障期間などは保険会社や商品によって異なるので、商品の内容をよく確認して自分が保障して欲しいと考えている部分をカバーしてくれているかを必ずチェックしましょう。
保障内容に関してですが、入院時の治療を重視した商品と通院による治療を重視したものとがありますが、近年は入院日数が短くなる傾向にあり、どちらかと言えば通院に関する保障が手厚い医療保険に加入する人が多くなっています。
がん治療に備える「がん保険」
がん保険は医療保険とよく似ていますが、保障内容が「がん」に特化しているのが最大の特徴です。
がんは長らく日本人の死亡原因の1位となっており、1981年に初めて死亡率1位となってから、もう40年以上日本人の死因1位を維持し続けています。
がん保険は契約者が「がん」だと診断された場合に給付金が支払われる保険ですが、商品によって給付金が支払われるタイミングが異なる点には注意が必要です。
がん保険の給付金が支払われるタイミングは大きく4種類に分けられ、以下のタイミングで給付金が支払われます。
- がんと診断された時に支払われる「一時金」
- 手術や抗がん剤など治療を受けた際に支払われる「治療給付金」
- がんの治療で入院した時に支払われる「入院一時金」
- がんの治療のために手術した時に支払われる「手術給付金」
ただし、医療保険と同様に同じ保障であっても保険会社によって受け取れる給付額や給付期間、または保障となる条件が異なるので、商品の内容は必ず確認しましょう。
がん保険に加入する目的は、万が一がんになった際の治療費を給付金によって補填するためなので、20代の貯蓄が少ないうちにがん保険に加入しておき、がんになっても実費で治療費を支払えるほどの貯蓄ができたらがん保険を解約するというのも一つの方法です。
この方法ならばがんになりやすい40代・50代でがん保険に加入するよりも保険料をずっと抑えることができるでしょう。
働けなくなった時に便利な「就労不能保険」
就労保険は大きな病気や重大なケガなどによって今までのように働けなくなってしまった場合に給付金が支払われる保険です。
何らかの理由でこれまでのように働けなくなってしまって収入が大きく減少するとこれからの生活がとても不安になりますが、就労不能保険に加入して万が一の備えをしておけば、収入が減少してもその減分は給付金によって補填してくれるので、これまでと同様の生活を継続できます。
就労保険の保険料は加入時の健康状態によって決まるという特徴があるので、加入する際の年齢が若ければ若いほど保険料は安くなります。
就労保険の性質上、働くことによって収入の大半を得ている人にとって特におすすめ出来る保険ですが、就労不能保険は医療保険と給付条件がほぼ同じです。
医療保険の給付金だけで不安なのであれば、ダブル給付にする意味は大いにありますが、医療保険の給付金だけで就労不能時のお金を十分賄えるのであれば、就労不能保険の給付金は過剰な収入となります。
これでは保険料がもったいないだけなので、もし所定の病気やケガになってしまったら給付金がおくらになるのかをあらかじめシミュレーションしておきましょう。
老後資金の貯蓄におすすめの「個人年金保険」
個人年金保険はこれまでのように万が一の保障を前提とした保険ではなく、老後に備えて加入する保険です。
個人年金保険という名称を見てもわかるように、老後の保険を貯めるために入る保険だと認識しておけばよいでしょう。
個人年金保険は「定額個人年金保険」と「変額個人年金保険」のふたつがあり、それぞれメリットとデメリットがあるため、内容をよく確認したうえで商品を選ぶようにしましょう。
20代で生命保険を選ぶ際に気を付けるべきポイント
20代で生命保険を選ぶ際に気を付けておいたほうがよいポイントをまとめました。
ここで紹介する3つのポイントは年齢に限らず保険加入の際には必ずチェックしておかなければならない項目なので、覚えておいて損はありません。
必要な保障額を計算しておく
保険を選ぶ際の基本中の基本ですが、自分にとって必要な補償額をあらかじめ計算しておきましょう。
保険は万が一に加入するものなので、必要な保障額を補填できる程度の給付金があれば十分です。
それ以上の給付金は過剰な保障となるので必要ありません。
保険料や保険期間に注目する
月々の保険料や保険期間にも注目しましょう。
保険は万が一に備えて加入するものなのに、家計を圧迫するような保険料になっていては本末転倒です。
保険料は余裕をもって支払える金額に設定してください。
また、保険期間にも注意が必要です。
「終身型」ならば将来にわたって保険が適用されますが、「定期型」は期間が限定されていて、期間が終了すると保険自体が終了となります。
保険期間が終了する前に保険会社から継続するかどうかの案内が来るので、継続しないことを選択すれば、その保険自体が無くなります。
見直しがしやすい保険か確認することも重要
生命保険は一度加入すればそのままで良いというものではありません。
ライフスタイルの変化によって必要な保険や不要な保険が変わります。
その際、保険の見直しが必要になりますが、見直しの際に解約が簡単かどうかも20代の保険選びでは重要になります。
例えば低解約返礼型の生命保険の場合、途中で解約すると返戻金は実際に支払われる金額よりも大幅に減少してしまうため、解約する可能性がある生命保険を艇解約返礼型で契約することはおすすめしません。
【パターン別】20代で加入がおすすめな生命保険
お味20代とはいっても、独身の人と結婚している人、そしてお子さんがいる夫婦では必要な保険が大きく異なります。
ここでは20代の独身男性と独身女性、夫婦でそれぞれおすすめの生命保険について解説します。
20代男性の場合
20代独身の男性と女性に共通するのは、自分が病気やケガを負った場合の治療費や働けなくなった期間の生活費などを補填してくれるような保障を得られる生命保険に加入するとよいでしょう。
したがって、「医療保険」「就労不能保険」のふたつがこの時期に加入を検討する保険としてはおすすめになります。
20代女性の場合
20代独身女性の場合は基本的には男性と変わりありませんが、もうひとつ加入を検討しておいてほしい保険があります。
それは「がん保険」で、20代女性に限らず女性は「乳がん」のリスクを有していて、20代や30代といった比較的若い世代で乳がんを発症する可能性もゼロではありません。
20代夫婦の場合
結婚すると、独身時代とはライフスタイルが大きく変わり、お子さんが誕生すると更にライフスタイツに変化が見られるため、夫婦だけの場合とお子さんがいる場合では必要となる保険が大きく異なります。
まず、20代夫婦のみの場合は独身の時と同じく「医療保険」「就労不能保険」に加えて、「死亡保険」も必要になるでしょう。
2人で住むことになる場合、パートナーが亡くなってしまうと当面の生活費に苦労する可能性があります。
とはいえ、持ち家でない限り(持ち家でも団体信用生命保険によって住居費は必要なくなる)、パートナーに不幸があった場合は1人用の部屋に引っ越すことになると思われるので、死亡保障で必要な金額というのは葬儀の費用と引っ越し費用プラスアルファくらいで十分でしょう。
しかしお子さんがいる場合は話は別で、2人の生活費に加えて、お子さんの生活費と教育費などが追加で必要になるため、保障内容はこれまで以上に充実させなければなりません。
特に大黒柱であるお父さんの「医療保険」「就労不能保険」の保障額は上昇させる必要があります。
そして特に充実させなければならないのが「死亡保険」です。
夫婦のみの場合と違い、単身用の住居に引っ越すということも出来ないので、住居費や生活費も含めて、万が一の事があってもお金の事を心配せずに暮らせるだけの給付金を得られるような商品に加入しておくようにしましょう。
また、将来のことを考慮して、貯蓄型のこども保険の加入を検討してみてもよいかもしれません。
20代の生命保険加入に関するFAQ
最後に20代の生命保険加入に関して、多くの人が疑問に思うであろうことをいくつかFAQ形式でまとめました。
20代に生命保険は必要ない?
20代で生命保険が必要かどうかは考え方によります。
保険料を支払わずに20代から貯蓄できる人であれば保険はあまり必要ないでしょう。
しかし大きな怪我など万が一に備えるお金を貯められない人は加入を検討してもよいのではないでしょうか。
20代で貯蓄型保険に加入すれば貯金はいらない?
貯蓄型保険は資産形成をするうえで有効ではありますが、万能ではありません。
資産形成の基本は「分散投資」なので、資金面に余裕があるならば貯蓄型保険以外の資産運用法も検討することをおすすめします。
保険の選び方が分からない時はどこに相談したらいい?
保険選びで悩んだ場合の相談先は「保険ショップ」「保険会社」「ファイナンシャルプランナー」の3つがありますが、このうち保険ショップと保険会社は自分にとってメリット(紹介料が高い)商品を薦められる可能性があるのでおすすめしません。
ファイナンシャルプランナーは中立的な立場で助言してくれますが、得意不得意があるので思っていたようなアドバイスが得られないというデメリットもあります。
とはいえ、事前に生命保険の選び方を聞きたいと伝えておき、適切なアドバイスを得られそうであれば、3つの相談先のなかではファイナンシャルプランナーがもっともおすすめです。
まとめ
20代の人は大きな病気とは無縁のため、生命保険は必要ないと感じている人は多いかもしれませんが、医療保険とは大きなケガの治療をする際にも給付金が支払われます。
20代で高額な医療費を支払えるだけの貯蓄ができている人は少ないため、万が一の保障として生命保険に加入する事は決して無駄ではありません。
また、20代の人が保険に加入する際は審査に通りやすい、保険料が安い、早くから貯蓄型保険に加入して将来の資産形成ができるというメリットがあります。
同じ20代でも独身男性と独身女性、結婚して夫婦となった場合、お子さんが生まれて以降でそれぞれ必要な保障額や保険が異なります。
自分に万が一の事があった際にどれくらいの保障額が必要なのかを算出し、その金額を補填できるような保障内容と給付額になっている保険に加入するのが見直しする際のコツです。
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