オルタナティブ投資のおすすめの種類は?それぞれのデメリット・リスクをわかりやすく解説
ITバブル崩壊やリーマンショックなどの大規模な金融危機が発生した2000年代以降、投資家はリスク分散の重要性に気づきました。
その結果株式などの従来の投資手段ではなく、リスク分散に適したオルタナティブ投資に関心が高まりました。
オルタナティブ投資は、株式や債券といった主流の投資とは相関が低く、多様な商品があります。そのため、新しい可能性を秘めており、今後もオルタナティブ投資の人気は高まると見込まれています。
目次
オルタナティブ投資とは
オルタナティブ投資とは、株式や債券などの一般的な投資手法とは異なる「新しい投資の選択肢」のことです。
オルタナティブ投資には、不動産や未公開株式、ヘッジファンド、商品など、さまざまな種類があります。
これらの投資手法は、株式や債券とは異なるリスクとリターンの特徴を持ち、市場の動向に左右されにくいという利点があります。
株式や債券は市場の変動に敏感であり、市場が低迷している時期には収益を上げることが難しいでしょう。
そのため、市場の状況に関係なく収益を得られる投資先を探していた投資家たちが、従来の投資手法に「代わる」投資先としてオルタナティブ投資を発見しました。
オルタナティブ投資は、そのような歴史的な経緯から生まれたものですが、現在では年金の運用にも活用されています。
日本では、公的年金の運用を担う「GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)」が、2020年度から始まった第4期中期計画で「運用資産全体の5%を上限としてオルタナティブ資産を運用すること」を決めました。
出典:年金積立金管理運用独立行政法人「年金積立金管理運用独立行政法人中期計画」
海外でも、多数の年金基金や機関投資家がオルタナティブ投資をポートフォリオに組み込んでいます。
オルタナティブ投資は、世界的に注目されている「新しい投資の選択肢」です。
そのメリットを理解し、自分の運用にも取り入れてみましょう。
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オルタナティブ投資の種類
オルタナティブ投資の種類について、次に説明します。
- 不動産
- 暗号資産(仮想通貨)
- インフラファンド
- プライベート・エクイティ
- コモディティ
- ヘッジファンド
詳しく見ていきましょう。
不動産
不動産投資は、物件を購入して賃貸に出したり、売却時に価格が上昇したりすることで収益を得る方法です。
- メリット:節税効果がある
- デメリット:不動産価格の下落リスクがある
不動産投資には多額の初期費用がかかりますが、その分税制上の優遇措置が受けられます。
具体的には、相続税や所得税などの課税対象から不動産の価値を減らすことができたり、住民税や贈与税などの納税義務を軽減することが可能です。
これらの節税効果は、不動産投資のメリットの一つと言えます。
暗号資産(仮想通貨)
暗号資産とは、インターネット上で取引される電子通貨の一種です。
暗号資産は、従来の「仮想通貨」という呼び方から、2018年に改正された資金決済法に基づいて「暗号資産」という呼び方に変更されました。
- メリット:時間や場所に制限されずに投資できる
- デメリット:価格変動が激しく、投資リスクが高い
暗号資産は、紙幣や硬貨のような物理的な形を持たず、コンピューターのネットワーク上でやりとりされるデジタルな資産です。
暗号資産は、国や中央銀行などの公的機関が発行や管理を行っている法定通貨とは異なり、個人や企業などの民間主体が発行や管理を行っています。
そのため、暗号資産は法定通貨と同じように価値を保証されているわけではないが、一定の市場価値を持ち、法定通貨に交換することが可能です。
暗号資産は、インターネット上で取引されるため、時間や場所に制限されずに投資することができます。
暗号資産は24時間365日取引できるため、世界中の市場動向に応じて柔軟に対応可能です。ただし、暗号資産は価格変動が激しいこともあり、投資には高いリスクが伴うことに注意が必要です。
インフラファンド
インフラストラクチャーとは、社会の発展に欠かせない施設やサービスのことで、交通、通信、エネルギーなどが含まれます。
- メリット:経済状況に左右されにくい安定した収益を期待できる
- デメリット:大きな初期投資が必要
インフラストラクチャーへの投資は、オルタナティブ投資の一種であり、経済状況に左右されにくい安定した収益を期待できるというメリットがあります。
近年、インフラ投資の中でも特に注目されているのが、太陽光発電所への投資です。
太陽光発電所は、再生可能エネルギーとして環境に優しく、長期的な運用が可能であるため、高い利回りを得られる可能性があります。
プライベート・エクイティ
非上場企業の株式への投資は、株式投資の一種でありながら、オルタナティブ投資として分類されます。
- メリット:将来の上場益を期待できる
- デメリット:非上場企業の内容が見えず、詐欺のリスクがある
オルタナティブ投資とは、伝統的な株式や債券などの資産クラスに属さない投資手法の総称です。
非上場企業の株式は、プライベート・エクイティとも呼ばれ、成長性の高い企業に早期に投資することで、将来的に上場した際に高いリターンを得ることを目指します。
ただし、非上場企業の株式は、証券市場で自由に売買することができません。
非上場企業の株式は、ベンチャーキャピタルや創業者などの限られた人々しか取引できないことが多く、流動性が低いという特徴があります。
コモディティ
コモディティとは、「商品」という意味を持ち、自然に存在する資源への投資のことを言います。
商品名 | 詳細 |
金・穀物など | 商品先物市場で取引される、金、プラチナ、トウモロコシ、大豆、原油など |
原油や森林などの天然資源 | ・天然ガスや石油などの採掘権や開発事業 ・森林資源がある土地の値上がり益や、温暖化ガス排出権の売買による利益 |
高級腕時計 | ———– |
高級バック | ———– |
ヴィンテージワイン | ———– |
ヴィンテージレコード | ———– |
トレーディングカード | ———– |
- メリット:株式市場の動きとリンクしていないので、リスクヘッジができる
- デメリット:資源にはマーケットリスク、貴重品は市場が限定されるリスクがある
具体的には、次のような7つの商品への投資です。
①商品先物市場の金・穀物など
商品先物市場で取引される、金、プラチナ、トウモロコシ、大豆、原油などが投資対象です。
②原油や森林などの天然資源
天然資源は、天然ガスや石油などの採掘権や開発事業が投資対象となります。
また、森林資源がある土地の値上がり益や、温暖化ガス排出権の売買による利益もオルタナティブ投資です。
③高級腕時計
高級腕時計は、他の投資商品とは一線を画す存在です。
それは、単に価値を高めるだけでなく、所有者の魅力やステータスをも表現できるアイテムだからです。
しかし、その美しさや機能性を長く保つためには、定期的に専門家によるメンテナンスが必要で、その費用は10万円以上にもなります。
④高級バック
高級バックの中でも、オルタナティブ投資として人気が高いのは、「エルメスのバーキン」です。
このバックは35年間にわたって価格が上昇し続けており、将来的にも価値が下がることはないと予想されます。
また、デザインや品質が優れており、どんな年代の人でも長く愛用できるという利点も持っています。
⑤ヴィンテージワイン
ヴィンテージワインはオルタナティブ投資の一つとして注目されています。
単に飲むだけでなく、長期的に保管して価値を高めることができます。
ヴィンテージワインの価格は、品質や希少性、需要などによって変動するが、一般的には時間とともに上昇する傾向にあります。
オルタナティブ投資としてのヴィンテージワインのメリットは、株式や債券などの伝統的な金融商品とは相関が低く、市場の変動に左右されにくいことです。
⑥ヴィンテージレコード
レコードは今や古き良き時代の音楽を楽しむための貴重なメディアとなっています。
レコードマニアは世界各地に存在し、レコードの歴史や音質、ジャケットデザインなどに魅了されています。
特にヴィンテージレコードは希少価値が高く、コレクターの間では激しい争奪戦状態です。
中には1枚で数十万円以上の価格で取引されるものもあり、レコード市場は盛り上がりを見せています。
⑦トレーディングカード
トレーディングカードは、オルタナティブ投資の一つとして注目されています。
これらは、ポケモンカードや遊戯王カードなどのゲームカードやコレクションカードのことです。
世界中で多くのファンが存在し、カードの種類や状態によっては数百円から数千万円までの価値があるとされています。
特にイベント限定品や大会優勝者限定品などの希少性の高いカードは、高値で取引されることが多いです。
しかし市場には偽造品も多く出回っており、鑑定を受けることで価値が正しく評価されるでしょう。
ヘッジファンド
ヘッジファンドとは、投資家から集めた資金を使って、さまざまな投資商品に投資する方法のことです。
- メリット:株式市場の下落の場合にも、利益をねらえる
- デメリット:オペレーションが高度で複雑
投資商品は株式や債券だけでなく、先物やデリバティブなども含まれます。
ヘッジファンドは、空売りなどの投資手法を用いて、相場が上昇するだけでなく、下落する場合でも利益を狙うことが可能です。
投資で得られた利益は、出資した金額に応じて投資家に還元されます。
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オルタナティブ投資のメリット
オルタナティブ投資のメリットを次の通り説明します。
- 分散投資できる
- 種類がたくさんある
それでは、詳しく見ていきましょう。
分散投資できる
オルタナティブ投資は、株式や債券などの伝統的な投資方法とは異なり、複数の投資先に分散して投資することでリスクを低減できるという特徴があります。
伝統的な投資方法では、一つの投資先に大きな資金を投入することが多く、その投資先の価格変動によって大きな損益が発生するでしょう。
このような場合、投資先が不調に陥れば、投資した資金を回収できないだけでなく、損失を被る可能性も高くなります。
しかし、オルタナティブ投資では、投資した資金をいくつかの異なる分野や案件に分けて投資することで、一つの投資先が不調でも他の投資先で収益を得ることが可能です。
また、異なる分野や案件に投資することで、市場全体の動向に左右されにくくなります。
オルタナティブ投資のメリットは、リスクを分散させて安定した収益を目指せることです。
種類がたくさんある
オルタナティブ投資のメリットは、従来の株式や債券とは異なる多様な投資対象にアクセスできることです。
株式や債券に投資する場合、市場の動向や経済状況によって収益性が左右される可能性が高いでしょう。
しかし、オルタナティブ投資では、不動産やコモディティなど、市場とは相関の低い資産に投資することが可能です。
これにより、市場の変動に影響を受けにくく、安定した収益を期待できます。
また、オルタナティブ投資は、初心者でも手軽に参加できる方法が増えています。
例えば、「J-REIT」は不動産の所有権を証券化したもので、証券取引所で売買が可能です。
「コモディティ・ファンド」は、金や原油などの商品を取引する投資信託で、銀行や証券会社で購入できます。
これらの方法を利用すれば、オルタナティブ投資の特徴やリスクを理解しながら、多様な投資対象にアクセス可能です。
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オルタナティブ投資のデメリットとリスク
オルタナティブ投資のデメリットとリスクを次の通り説明します。
- 仕組みが複雑
- ハイリターンになりやすい
- 手数料が高い場合もある
- 変動リスクが予想しづらい
それでは、詳しく見ていきましょう。
仕組みが複雑
オルタナティブ投資は、株式や債券とは異なる投資手法を用いるもので、ヘッジファンドやコモディティなどが代表例です。
これらの投資は、収益のメカニズムが複雑であり、一般的な投資とは異なるリスクやコストを伴います。
オルタナティブ投資には専門的な知識が必要です。
自分で投資を行う場合には、投資の仕組みや特徴を十分に理解することが重要です。
また、ファンドマネージャーなどの専門家に頼る場合には、そのサービスに対する報酬や手数料などのコストを考慮する必要があります。
オルタナティブ投資は、投資初心者にとっては難易度の高いものです。
投資を始める前には、基礎的な知識を身につけることが必須です。
ハイリターンになりやすい
オルタナティブ投資は、一般的な株式や債券などの投資とは異なり、高い利益を狙うことができる投資方法です。
しかし、その反面、リスクも高くなります。
オルタナティブ投資には、ヘッジファンドやプライベートエクイティ、不動産など様々な商品がありますが、それらの価値は市場の変動に大きく影響されるでしょう。
もし、投資した商品の価値が急落した場合は、多額の損失を被る可能性があります。
オルタナティブ投資を行う場合は、自分の資産状況やリスク許容度をしっかりと把握し、適切な商品選択や分散投資を行うことが重要です。
また、オルタナティブ投資に関する知識や情報も必要になります。
オルタナティブ投資は、高い利益を得るチャンスがありますが、それに見合ったリスクもあります。
そのことを忘れずに、慎重に投資することが肝要です。
手数料が高い場合もある
オルタナティブ投資は、ファンドなどの仲介者を利用することが多いです。
その場合、手数料や管理費などのコストがかかります。これらのコストは、投資のリターンに影響を与える要素です。
したがって、オルタナティブ投資をするときは、コストとリターンのバランスを考慮する必要があります。
変動リスクが予想しづらい
投資信託などの金融商品には、運用成果を測るためのベンチマーク(基準値)が定められているものが多いですが、オルタナティブ投資ではそうでないものも存在します。
ベンチマークがない場合、商品の価格変動の要因や傾向が分かりにくく、運用リスクを正しく評価することが難しくなります。
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オルタナティブ投資を始める際の注意点
オルタナティブ投資を始める際の注意点を次の通り説明します。
- 詐欺の心配はない?
- 途中解約は可能?
- 未上場株式の投資は上場株式に比べてリスクあり?
それでは、詳しく見ていきましょう。
詐欺の心配はない?
オルタナティブ投資の魅力は、高いリターンや多様化効果が期待できることですが、その反面、リスクも高く、透明性や流動性が低いことが問題点です。
オルタナティブ投資を行う場合は、証券会社のネット口座を開設する必要はありませんが、その分、投資先の企業の信頼性や実績を自分で調べる必要があります。
インターネット上には、オルタナティブ投資に関する口コミや評判が多数ありますが、それらを鵜呑みにするのではなく、客観的な情報源や専門家の意見も参考にすることが重要です。
途中解約は可能?
投資契約をする際には、運用期間や解約条件に注意する必要があります。
運用期間中に解約することはできませんので、自分の資金計画やリスク許容度に合わせて投資種類や案件を選択することが重要です。
運用期間が終了したら、再度投資契約を締結することが可能です。
未上場株式の投資は上場株式に比べてリスクあり?
未上場株式を発行している企業は、企業の情報を不透明にしている場合が多いです。
企業の上場は社会的・業界的な信用と実績を示すものであり、企業情報を公開する義務があります。
一方、未上場株式の企業はそのような義務がないため、その企業の真価や信頼性を判断するのが難しいことがあります。
そのため投資した場合、期待した収益が得られるかどうか不確実であるというリスクは高いです。
投資する前には、企業やその企業が属する業界の動向を十分に調べて、その企業の将来性や競争力を慎重に分析しなければなりません。
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まとめ
オルタナティブ投資とは、株式や債券などの一般的な投資とは異なる、新たな投資対象のことです。
ヘッジファンドやプライベートエクイティファンドなどの非公開ファンド、コモディティや不動産・REITなどの実物資産、デリバティブなどの金融派生商品などが含まれます。
オルタナティブ投資の魅力は、株式や債券とは異なる動きをすることです。
これにより、ポートフォリオのリスクを分散させることができます。
オルタナティブ投資は近年人気が高まっていますが、収益性や流動性には様々なリスクがあります。
オルタナティブ投資を行う場合は、その仕組みや特徴を十分に理解してから行うことが重要と言えるでしょう。